恁麼⑥
〔『正法眼蔵』原文〕
われにあらず、遍界かくるゝところなし。
たれにあらず、万里バンリ一条鉄なり。
たとひ恁麼して抽枝チュウシなりとも、
「十方仏土中、唯有一乗法」なり。
たとひ恁麼して葉落すとも、
「是法住法位ゼホウジュウホウイ、世間相常住セケンソウジョウジュウ」なり。
「既是恁麼事キゼインモジ」なるによりて、
有智と無智と、日面ニチメンと月面ガチメンとなり。
〔『正法眼蔵』私訳〕
自分以外の誰でもないからこそ、
万里の彼方まで一本の鉄のように真理は貫かれているのである。
たとえこのように真理が新しい枝を出すとしても、
それは「十方の仏の国土の中には、ただ一つの真実の教えしかない」ということである。
たとえこのように真理が葉を落とすとしても、
それは「この法は法位に住し、世間の相常住なり(この仏の教えは、真如という普遍不変の法の位に安住しており、一見無常に見えるこの世の現象も、実はそのままの姿で真理に照らされており、永遠である)」ということである。
既にかくの如きありようであるから、
「有智」と「無智」は、日面の仏と月面の仏のように、
ただ同じ真理の異なる面として現れるのである。
合掌
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