〔『正法眼蔵』本文〕
雲居山ウンゴサン弘覚大師グカクダイシ、そのかみ三峰庵サンポウアンに住せしとき、
天厨テンチュウ送食ソウジキす。
大師あるとき洞山に参じて、大道を決択ケッチャクしてさらに庵にかへる。
天使また食を再送して師を尋見ジンケンするに、三日を経て師をみることをえず。
天厨をまつことなし、大道を所宗とす。
辨肯ベンコウの志気、おもひやるべし。
〔『正法眼蔵』私訳〕
雲居山の弘覚大師(雲居道膺ドウヨウ禅師)は、その昔洞山の奥にある三峰山に庵を結んで住んでいたとき、天人が食物を送って供養した。
(雲居山弘覚大師、そのかみ三峰庵に住せしとき、天厨送食す。)
大師がある時、洞山良价禅師に参じて、仏祖の大道を自己のものとして、
再び庵に帰ってきた。
(大師あるとき洞山に参じて、大道を決択してさらに庵にかへる。)
天人がまた食物を供養しようとして大師を尋ねたが、
三日たっても大師を見ることが出来なかった。
(天使また食を再送して師を尋見するに、三日を経て師をみることをえず。)
もはや天人の供養を期待することなく、仏祖の大道を根本としたのである。
(天厨をまつことなし、大道を所宗とす。)
坐禅修行に精進した不退転の志を、思いやるべきである。
(辨肯の志気、おもひやるべし)。
合掌
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