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却って迷う者を探して捕えてみると、大悟に徹した人と互いに逢うだろう『第十大悟』10-3-4a

 〔『正法眼蔵』原文〕

 しかあれば、認賊為子ニンゾクイシを却迷とするにあらず、

認子為賊ニンシイゾクを却迷とするにあらず。


大悟は認賊為賊なるべし、却迷は認子為子なり。


多処添些子タショテンシャスを大悟とす。


少処減些子ショウショゲンシャス、これ却迷なり。


しかあれば、却迷者を摸著モヂャクして把定了ハジョウリョウ

大悟底人ダイゴテイニンに相逢ソウホウすべし。


而今ニコンの自己、これ却迷なるか、不迷なるか、𢮦点将来すべし。


これを参見仏祖とす。




〔『正法眼蔵』私訳〕

 却迷(却って迷うこと)に親しみきった大悟(大きな悟り)があるから、

(却迷)の存在を知覚して子(大悟と見なすことを却迷(却って迷うこと)とするのではなく、

(大悟)の存在を知覚して賊(却迷)と見なすことを却迷とするのでもない。

(しかあれば、認賊為子を却迷とするにあらず、認子為賊を却迷とするにあらず。)


大悟は賊(却迷)の存在を知覚して賊(却迷)と見なすのであり、

却迷は子(大悟)の存在を知覚して子(大悟)と見なすのである。

(大悟は認賊為賊なるべし、却迷は認子為子なり。)

〔大悟(子)と却迷(賊)の間は、「賊の存在を知覚して賊と見なす」と

「子の存在を知覚して子と見なす」の間ほどの意味合いに理解すべきであると言うのである。〕


多い処にものを加えるのを大悟とする。

少ない処からものを減らすのが、却迷である。

(多所添些子を大悟とす。少処減些子、これ却迷なり。)

〔大悟は大悟で全世界を尽くし、却迷は却迷で全世界を尽くすことを表す。〕


そうであるから、却って迷う者を探して捕えてみると、

大悟に徹した人と互いに逢うだろう。

(しかあれば、却迷者を摸著して把定了に大悟底人に相逢すべし。)

〔却迷者と大悟底人が同じであることを表す。〕


今の自己は、却って迷っているのか、迷っていないのか、

綿密に点検して見極めなければならない。

(而今の自己、これ却迷なるか、不迷なるか、𢮦点将来すべし。)

〔ここも、却迷と不迷が同じ意味であることを表す。〕


これこそが、仏祖に参じ見マミえることである。

(これを参見仏祖とす。)


〔以上で、僧が「大悟に徹した人が却って迷う時とは、

どういうことでしょうか」と述べた言葉の説明がすんだ。〕



かえって迷う者を探して捕えてみると、大悟に徹した人に出会うであろう『第十大悟』10-3-4b



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