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月日を無駄に過ごさないとは仏道のために行ずることである『第十六行持』16-17-2


〔『正法眼蔵』原文〕

 しづかにおもふべし、驪珠はもとめつべし、尺璧はうることもあらん。


一生百歳のうちの一日は、ひとたびうしなはん、ふたゝびうることなからん。


いづれの善巧方便ゼンギョウ ホウベンありてか、すぎにし一日をふたたびかへしえたる。


紀事キジの書にしるさざるところなり。


もしいたづらにすごさざるは、日月を皮袋ヒタイに包含ホウガンして、もらさざるなり。


しかあるを、古聖先賢コショウ センケンは、日月ををしみ、光陰ををしむこと、

眼睛ガンゼイよりもをしむ。国土よりもをしむ。


そのいたづらに蹉過シャカするといふは、名利ミョウリの浮世フセイに濁乱ジョクランしゆくなり。


いたづらに蹉過せずといふは、道にありながら、道のためにするなり。    

   


〔『正法眼蔵』私訳〕

静かに思うべきである、竜のあぎとにある明珠は求めることもできよう、

また直径一尺の金剛石は手に入れることもできよう。

(しづかにおもふべし、驪珠はもとめつべし、尺璧はうることもあらん。)


しかし、一生の百年のうちの一日は、

一度失ってしまえば、再び手に入れることはできないであろう。

(一生の百歳のうちの一日は、ひとたゝびうしなはん、ふたゝびうることなからん。)


どのような巧みな手立てがあって、

過ぎた一日を再び取り返すことができようか。

(いずれの善巧方便ありてか、すぎにし一日をふたゝびかえしえたる。)


歴史の書に記されていないところである。

(紀事の書にしるさざるところなり。)


もし一日を無駄に過ごさなければ、

日月を身体に包みこんでとり逃がすことはないのである。

(もしいたずらにすごさざるは、日月を皮袋に包含して、もらさざるなり。)


そうであるから、昔の聖人や賢人は、日月を大事にし、時間を大事にすることは、自分の眼玉よりも大事にし、国土よりも大事にしたのである。

(しかあるを、古聖先賢は、日月ををしみ光陰ををしむこと、

眼睛よりもをしむ、国土よりもをしむ。)


その日月を無駄に過ごすというのは、

名聞や利養の浮き世に惑わされていくことである。

(そのいたずらに蹉過するといふは、名利の浮世に濁乱しゆくなり。)


月日を無駄に過ごさないとは、

仏道のなかにありながら仏道のために行ずることである。

(いたずらに蹉過せずといふは、道にありながら道のためにするなり。)


                  合掌


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