〔『正法眼蔵』原文〕
「涅槃ネハン生死ショウジ是空華《涅槃と生死と是れ空華》」。
涅槃といふは、阿耨多羅三藐三菩提アノクタラサンミャクサンボダイなり。
仏祖および仏祖弟子の所住これなり。
生死は真実人体なり。
この涅槃生死は、その法なりといへども、これ空花なり。
空華の根茎枝葉コンキョウシヨウ、花果光色ケカコウシキ、ともに空花の花開なり。
空花かならず空菓をむすぶ、空種をくだすなり。
いま見聞する三界は、空花の五葉開なるゆゑに
不如三界フニョサンガイ、見於ケンオ三界なり。
この諸法実相なり、この諸法華相なり。
乃至不測フシキの諸法、ともに空花空果なり、
梅柳桃李とひとしきなりと参学すべし。
〔『正法眼蔵』私訳〕
〔第八句〕
「涅槃と生死は空華である。」
〔涅槃と生死と是れ空華。〕
涅槃とは、
アノクタラサンミャクサンボダイ(無上正等正覚)のことである。
〔涅槃といふは、阿耨多羅三藐三菩提なり。〕
これは仏祖および仏祖の弟子(我々)が住む所である。
〔仏祖および仏祖弟子の所住これなり。〕
生死は仏の真実なる人体である。
〔生死は真実人体なり。〕
この涅槃と生死は、涅槃は涅槃、生死は生死であるといっても、
これは空華である。
〔この涅槃生死は、その法なりといへども、これ空花なり。〕
空華の根・茎・枝・葉、花・果・光・色は、
みな空華の花が開いたものである。
〔空華の根茎枝葉、花果光色、ともに空花の花開なり。〕
空華(仏身)は必ず空果(仏果)を結び、
空種(仏種)を下すのである。
〔空花かならず空菓をむすぶ、空種をくだすなり。〕
今見聞するあらゆる世界は、
空華の五葉が開いたのであるから、普通の三界ではないのである。
〔いま見聞する三界は、空花の五葉開なるゆゑに不如三界、見於三界なり。〕
このすべてのものは真実のすがたであり、
このすべてのものは空華のすがたである。
〔この諸法実相なり、この諸法華相なり。〕
あるいは、測り知れないすべてのものは、みな空華であり空果であり、みな梅や柳や桃や李に花が咲き実を結ぶことと同じだと学ぶべきである。
〔乃至不測の諸法、ともに空花空果なり、梅柳桃李とひとしきなりと参学すべし。〕
合掌
ランキングに参加中です。よろしければクリックをお願いします。

コメント
コメントを投稿