〔『正法眼蔵』原文〕
「本無花ホンムケ」なりといへども、今有花コンユウケなることは、
桃李タウリもかくのごとし、梅柳ムイリウもかくのごとし。
梅昨無華ムイサクムケ、梅春有華ムイシュンユウケと道取せんがごとし。
しかあれども、時節到来すればすなはちはなさく花時なるべし、
花到来なるべし。
この花到来の正当恁麼時、みだりなることいまだあらず。
梅柳の花はかならず梅柳にさく。
花をみて梅柳をしる、梅柳をみて花をわきまふ。
桃李の花いまだ梅柳にさくことなし。
梅柳の花は梅柳にさき、桃李の花は桃李にさくなり。
空花の空にさくも、またまたかくのごとし。
さらに余草にさかず、余樹にさかざるなり。
〔『正法眼蔵』私訳〕
「もともと花というものは無い」けれども、今花が有ることは、
桃や李(すもも)もこのようであり、梅や柳もこのようである。
〔本無花なりといへども、今有花なることは、桃李もかくのごとし、梅柳もかくのごとし。〕
梅は昨日まで花は無かったけれども、
梅は今日春になれば花が咲くと言うようなものである。
〔梅昨無華、梅春有華と道取せんがごとし。〕
そうであるから、時節が到来すれば、それは花が咲く花の時であり、
花の到来なのである。
〔しかあれども、時節到来すればすなはちはなさく花時なるべし、
花到来なるべし。〕
この花が到来するまさにその時は、乱れたことはいまだないのである。
〔この花到来の正当恁麼時、みだりなることいまだあらず。〕
梅や柳の花は、必ず梅や柳の木に咲くのである。
〔梅柳の花はかならず梅柳にさく。〕
合掌
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