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坐禅しても自己の本来の面目と出会わなかった『第十二坐禅箴』12-9-5a

 〔『正法眼蔵』本文〕

このゆゑに、古来より近代にいたるまで、

坐禅銘を記せる老宿一両位あり、坐禅儀を撰せる老宿一両位あり。


坐禅箴を記せる老宿一両位あるなかに、坐禅銘、ともにとるべきところなし、坐禅儀、いまだその行履アンリにくらし。


坐禅をしらず、坐禅を単伝せざるともがらの記せるところなり。


景徳伝灯録ケイトクデントウロクにある坐禅箴、および嘉泰普灯録カタイフトウロクにあるところの坐禅銘等なり。


あはれむべし、十方の叢林に経歴キョウリャクして一生をすごすといへども、

一坐の功夫あらざることを。


打坐すでになんぢにあらず、功夫さらにおのれと相見ショウケンせざることを。


これ坐禅のおのれが身心をきらふにあらず、真箇の功夫をこころざさず、

倉卒ソウソツに迷酔せるによりてなり




〔『正法眼蔵』私訳〕

このために、古代から近代に至るまで、坐禅銘を記した高僧が一人二人おり、坐禅儀を撰述した高僧も一人二人いる。

(このゆゑに、古来より近代にいたるまで、坐禅銘を記せる老宿一両位あり、

坐禅儀を撰せる老宿一両位あり。)


坐禅箴を書いた高僧の一人二人いる中で、坐禅銘は、どれも取るべきものはない、坐禅儀は、いまだ坐禅している時のありようにくらい。

(坐禅箴を記せる老宿一両位あるなかに、坐禅銘、ともにとるべきところなし、

坐禅儀、いまだその行履にくらし。)


坐禅を知らず、坐禅を自己に正しく伝えていない者たちが

記したものである。

(坐禅をしらず、坐禅を単伝せざるともがらの記せるところなり。)


『景徳伝灯録』にある坐禅箴、

および『嘉泰普灯録』にある坐禅銘などがそれである。

(景徳伝灯録にある坐禅箴、および嘉泰普灯録にあるところの坐禅銘等なり。)


哀れむべきである、十方の修行道場を経巡って一生を過ごしたとしても、

一炷の坐禅を本当に行じることがなかったことを。

(あはれむべし、十方の叢林に経歴して一生をすごすといへども、

一坐の功夫あらざることを。)


哀れむべきである、坐禅がまったく自分のものにならず、

坐禅を行じても決して自己の本来の面目と出会わなかったことを。

(打坐すでになんぢにあらず、功夫さらにおのれと相見せざることを。)


これは坐禅が自分の身心を嫌ったからではない、

本物の修行を志さず、形を作ってただ坐っているのが坐禅だと曲解し

それに酔っているからである。

(これ坐禅のおのれが身心をきらふにあらず、真箇の功夫をこころざさず、

倉卒に迷酔せるによりてなり。)





                              合掌

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