〔『正法眼蔵』原文〕
「玄砂来日問其僧、尽十方世界是一顆明珠、汝作麼生会ソモサンエ」。
これは道取す、昨日サクジツ説定法ジョウホウなる、今日コンニチ二枚をかりて出気スイキす。
今日説不定法なり、推倒スイトウ昨日点頭笑テントウショウなり。
「僧曰、尽十方世界是一顆明珠、用会作麼ヨウエソモ。」
いふべし騎賊馬キゾクバ逐賊チクゾク《賊馬に騎て賊を逐ふ》なり。
〔『正法眼蔵』私訳〕
「玄砂は、次の日その僧に問うて、「あらゆる世界は一個の明珠である、
汝はそれをどのように理解するか」と言った。
(「玄砂来日問其僧、尽十方世界是一顆明珠、汝作麼生会ソモサンエ」。)
これは言うなら、昨日は「用会作麼」と言って明珠を真正面から説き(説定法)、今日は再度明珠を取り上げて、今日は「汝作麼生会」と問うて明珠を裏側から説き(説不定法)、昨日言ったことをひっくり返し、一人でうなづいて笑っているというのである。
(これは道取す、昨日サクジツ説定法ジョウホウなる、今日コンニチ二枚をかりて出気す。
今日説不定法なり、推倒スイトウ昨日点頭笑テントウショウなり。)
僧は言った、「あらゆる世界は一個の明珠である、
それを理解してどうするのか」と。
(「僧曰、尽十方世界是一顆明珠、用会作麼。」)
〔僧が分別で玄砂の口真似をしたと解されるが、
道元禅師の解釈はまったく違う。〕
よくぞ言ったものだ、これは〔、賊を馬から突き落とし、〕賊(玄砂)の馬に乗って賊(玄砂)を逐いかける(相手の棒を奪って相手を打つ)といったところである。
(いふべし騎賊馬キゾクバ逐賊チクゾク《賊馬に騎て賊を逐ふ》なり。)
合掌
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