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正4-11-1『第四身心学道』 第十一段①〔界量にあらざれば広狭にあらず:何かを基準にして量るということがなければ、広いとか狭いとかということは出てこない〕

 

〔『正法眼蔵』原文〕

界量にあらざれば広狭にあらず。


尽十方界は、八万四千の説法蘊セッポウウンなり、八万四千の三昧ザンマイなり、八万四千の陀羅尼ダラニなり。


八万四千の説法蘊、これ転法輪なるがゆえに、法輪の転処は、互界なり、互時なり。


方域なきにあらず、「真実人体」なり。



〔抄私訳〕

今の「尽十方界」の様子は、本当に境界を区切って量れるものではないから、「広狭」に関わらない道理が明らかである。「尽十方界」は、ただ広く限りが無いとばかり理解しているので、今は「八万四千の説法蘊」以下、皆これを「尽十方界」だと理解し、「転法輪」というのも「尽十方界」であるから、「法輪の転処は、互界なり、互時なり」と言う。世界にわたり、時間にわたって、尽十方界であり、「方域なきにあらず、真実人体なり」と言うのである。


〔聞書私訳〕

/この「互時」「互界」「真実人体」を、そのまま「方域」と言われるのである。世間の方域や際限を指すのではない。



〔『正法眼蔵』私訳〕

何かを基準にして量るということがなければ、広いとか狭いとか多いとか少ないとかということは出てこない。

(界量にあらざれば広狭にあらず。)

〔人間は言葉を使って比較し価値の高低をつけたりしますが、今触れているものの様子で真相がはっきりしているのです。こっちの方が言葉よりはっきりしているでしょ。だから、この身心の様子から真相を学ぶ必要があるのです。〕


尽十方界は、たくさんの説法〈そのことがそのことを説いていること〉の集まりであり、たくさんの三昧〈正受:その通りになっていること〉であり、たくさんの陀羅尼〈総持:そのままずばっといただくこと〉である。

(尽十方界は、八万四千の説法蘊セッポウウンなり、八万四千の三昧ザンマイなり、八万四千の陀羅尼ダラニなり。)


たくさんの説法の集まりは、仏の教えが広く伝わっていること〈転法輪〉であるから、仏の教えが伝わっているところは、あらゆる世界に行き渡っており、あらゆる時間に行き渡っている〈その時にその様子しかない〉のである。

(八万四千の説法蘊、これ転法輪なるがゆえに、法輪の転処は、互界なり、互時なり。)


と言っても、尽十方界は方角や区域がないわけではなく、〔右を向いている時は右を向いている様子に必ずなっている〕この真実の人体である。

(方域なきにあらず、真実人体なり。)


                          合掌



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