〔『正法眼蔵』本文〕
南泉ナンセン云イワク、「莫便是長老見処麼マクベンゼチョウロウケンジョマ《便ち是れ長老の見処なることなきや》」。
黄檗オウバク曰イワク、「不敢フカン」。
南泉云、「漿水銭且致ショウスイセンシャチ、草鞋銭教什麽人還ソウアイセンキョウジュウモニンゲン《漿
水銭は且シバラく致オく、草鞋銭は什麽人ナニビトをしてか還カエさしめん》」。
黄檗便休ベンキュウ《黄檗便ち休す》。
〔『正法眼蔵』私訳〕
南泉(黄檗の師)は言う、「これはお前の会得した処かな、それともどうか」。
(南泉云、「莫便是長老見処麼マクベンゼチョウロウケンジョマ《便ち是れ長老の見処なることなきや》」。)
黄檗は言う、「いやいや、どういたしまして」。(黄檗曰、「不敢フカン」。)
南泉は言う、「行脚アンギャ中の飲み水代はしばらくおいておこう、
しかし履き破ったわらじ代は誰に返させるのか」。
(南泉云、「漿水銭且致ショウスイセンシャチ、草鞋銭教什麽人還ソウアイセンキョウジュウモニンゲン《漿水銭は且シバラく致オく、草鞋銭は什麽人ナニビトをしてか還カエさしめん》」。)
黄檗は、そこで休んだ。(黄檗便休ベンキュウ《黄檗便スナワチち休キュウす》。)
〔「わらじ代の貸し倒れじゃ」と貶ケナされたようなことを言われても、黄檗は一向平気で黙した。その人とその人だから何ともない。言うべきを言い、休すべきを休す、ここが実に仏性現前である。〕
合掌
ランキングに参加中です。よろしければクリックをお願いします。
↓ ↓
コメント
コメントを投稿