〔『正法眼蔵』原文〕
彫龍チョウリュウを愛するより、すすみて真龍を愛すべし。
彫龍、真龍ともに雲雨ウンウの能ノウあること学習すべし。
遠エンを貴することなかれ、遠を賎することなかれ、遠に慣熟なるべし。
近を賎することなかれ、近を貴することなかれ、近に慣熟なるべし。
目をかろくすることなかれ、目をおもくすることなかれ。
耳をおもくすることなかれ、耳をかろくすることなかれ、
耳目をして聡明ならしむべし。
〔『正法眼蔵』私訳〕
彫った龍(形の坐禅)を愛するより、
進んで本物の龍(生きた坐禅)を愛すべきである。
(彫龍を愛するより、すすみて真龍を愛すべし。)
彫った龍も本物の龍もどちらも雲を呼び雨を降らす能力があることを学ぶべきである。
(彫龍、真龍ともに雲雨の能あること学習すべし。)
〔思量の上で眺める彫龍と、思量を離れ自分自身の真相そのものの上で学ぶ真龍と、どちらも捨てがたい内容があります。思量とはこういうことをしているんだということが分かるから、思量を離れ本物に学ぶということも出て来るのです。〕
遠くのもの(作仏)を貴んではいけない、遠くのものを賤しんでもいけない、遠くのものに熟達すべきである。
(遠を貴することなかれ、遠を賎することなかれ、遠に慣熟なるべし。)
近くのもの(坐禅)を賤しんではいけないし、近くのもの(坐禅)を貴んでもいけない、近くのもの(坐禅)に熟達すべきである。
(近を賎することなかれ、近を貴することなかれ、近に慣熟なるべし。)
目を軽んじてはいけない、目を重んじてもいけない。
(目をかろくすることなかれ、目をおもくすることなかれ。)
耳を重んじてはいけない、耳を軽んじてもいけない。
耳や目を聰明にしなければいけない。
(耳をおもくすることなかれ、耳をかろくすることなかれ、
耳目をして聰明ならしむべし。)
彫った龍を愛するより、進んで本物の龍を愛すべきである『第十二坐禅箴』12-2-2b
合掌
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