〔『正法眼蔵』原文〕
自己に参学せざるゆゑに、崩壞の正当恁麼時ショウトウインモジは、
一条両条、三四五条なるがゆゑに無尽条ムジンジョウなり。
かの条々、それ寧無我身ネイムガシンなり。我身は寧無なり。
而今ニコンを自惜ジシャクして、我身を古仏心ならしめざることなかれ。
まことに七仏以前に古仏心壁竪ヘキジュす、
七仏以後に古仏心才生サイショウす、
諸仏以前に古仏心花開カカイす、
諸仏以後に古仏心結果す、
古仏心以前に古仏心脱落なり。
〔『正法眼蔵』私訳〕
自己に参学しないから、世界が崩壊する正にその時は、
一つ一つがどこまでも壊れてしまうのである。
(自己に参学せざるゆゑに、崩壞の正当恁麼時は、
一条二条、三四五条なるがゆゑに無尽条なり。)
その一つ一つ、寧ムシろ無いのが我が身である。我が身は寧ろないのである。
(かの条々、それ寧無我身なり。我身は寧無なり。)
〔あるのは古仏心だけである。〕
今のこの身に執着して、
我が身を古仏心にならないようにしてはいけない。
(而今を自惜して、我身を古仏心ならしめざることなかれ。)
〔この父母所生の身をすぐに古仏心にしなければならない。〕
誠に七仏以前に古仏心が、千万丈もの高さで壁のようにそびえ立ち、
七仏以後に古仏心が、芽生え、
諸仏以前に古仏心が、花(古仏心)を開き、
諸仏以後に古仏心が、実(古仏心)を結び、
古仏心以前に古仏心が、解脱するのである。
(まことに七仏以前に古仏心壁竪す、七仏以後に古仏心才生す、
諸佛以前に古仏心花開す、諸佛以後に古仏心結果す、古仏心以前に古仏心脱落なり。)
〔『正法眼蔵』原文〕
正法眼蔵古仏心第九
爾時ニイジ寛元元年癸ミズノト卯ウ四月二十九日在六波羅蜜寺示衆
寛元二年甲キノエ辰タツ五月十二日在越州吉峰庵下侍司書写 懐弉エジョウ
〔『正法眼蔵』私訳〕
正法眼蔵涅槃妙心第九巻古仏心
時に西暦1243年4月29日、京都の六波羅蜜寺で大衆に説いた。
西暦1244年5月12日、福井の吉峰寺侍司寮で書写した。 懐弉
合掌
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