〔『正法眼蔵』本文〕
且問シャモンすらくは、この一図、いくそばくの作仏を葛藤すとかせん。
この葛藤、さらに葛藤をまつふべし。
このとき、尽作仏の条々なる葛藤、かならず尽作仏の端的なる、
みなともに条々の図なり。
一図を廻避カイヒすべからず。
一図を廻避するときは、喪身失命ソウシンシツミョウするなり。
喪身失命するとき、一図の葛藤なり。
〔『正法眼蔵』私訳〕
しばらく問う、この身心の今の様子、
この身心の働きは一体どれほど多くの仏を作り出しているのか。
(且問すらくは、この一図、いくそばくの作仏を葛藤すとかせん。)
この身心の働きは眼の前のものと一体となって、
刻々と新たにこの身心の上に仏を作り出しているのである。
(この葛藤、さらに葛藤をまつふべし。)
このとき、この身心の働きは一瞬一瞬ことごとく仏を作り出しており、
必ずことごとく仏を作り出して百発百中であり、
みな一瞬一瞬の今の様子である。
(このとき、尽作仏の条々なる葛藤、かならず尽作仏の端的なる、みなともに条々の図なり。)
坐禅の今の様子を回避することはできない。
(一図を廻避すべからず。)
今の様子を尽十方世界はこの真実人体として回避すれば、
幻化ゲンゲの身命を喪失するのである。
(一図を廻避するときは、喪身失命するなり。)
幻化の身命を喪失するときこそ、
眼の前のものと一体となって現れる身心の今の様子なのである。
(喪身失命するとき、一図の葛藤なり。)
コメント
コメントを投稿